2016年から美容室のメニューに加わった酸熱トリートメント。
登場して間もないのでどんなメニューなのかわからないという人も多いのではないでしょうか?
一言でまとめると、酸熱トリートメントは傷ついた髪内部を補修して髪の強度・弾力をコントロールするメニューです。
フニャッとした状態の髪が、中に芯が入ったかのようにピンッと元気になりました!
ハリコシがある強い髪へと導いてくれるので、ダメージで髪がクタッとしている人や、年齢の変化で髪が弱ってきた人におすすめです。
この記事では、「酸熱トリートメントって普通のトリートメントとなにが違うの?」と疑問に感じている人に向けて酸熱トリートメントについてまとめてみました。
現役美容師の橋口美月が解説します。
酸熱トリートメントって?
酸熱トリートメントは、内部にアプローチして中から髪の強度・弾力を高める効果があります。
一般的なトリートメントとは何が違うのでしょうか?
トリートメントと名前が付いているので「サロントリートメントと同じでしっとりするんじゃないの?」と間違った知識を持っている人も多い印象です。
一般的なトリートメント・酸熱トリートメントの違いをまとめてみました。
酸熱トリートメント | 一般的なトリートメント | |
作用 | 髪の内側 | 髪の外側 |
髪の変化 | 髪の強度・弾力が得られる | 髪がコーティングされる |
向いている人 | 髪がクタッとしている人 | 誰でも |
価格 | 7,000円〜3万円 | 1,000円〜5,000円程度 |
時間 | 1時間半 | 45分 |
リスク | あり | なし |
一般的なトリートメントは、髪の表面を脂の膜でコーティングし保湿することが目的です。
例えるならハンドクリームのような位置づけ。
パサつきを一時的に誤魔化せますが、パサつきの根本的な原因解消にはなりません。
一方で酸熱トリートメントは、ダメージによって髪の中にできた空洞を埋め髪を強くすることが目的です。
例えるなら家の柱のような位置付け。
傷んだ柱を修繕し、さらに新たな柱を足すことで家全体の強度を増します。
一般的なトリートメントと違い髪の根本的な強化に繋がるので、続ければ続けるほど健康的な髪へと近づけられます。
酸熱トリートメントにはリスクがある?
酸熱トリートメントには、他のトリートメントでは得られない絶大な効果を実感できる反面でいくつかリスクが存在します。
- 施術頻度に縛りがある
- 価格が高い・施術時間がかかる
- 仕上がりは美容師の技量に左右される
施術頻度に縛りがある
酸熱トリートメントは短期間に何度も行えば効果が高まるわけではありません。
むしろ短い期間に繰り返し行うと髪が固くごわついたり、毛先がバサバサになるなど質感を損なってしまうことも…。
どうしてこのようなことになるのでしょうか。
髪は元々弱酸性。ここにアルカリであるカラーやパーマの薬剤を乗せると髪がアルカリ性に偏ります。
髪がアルカリに偏ると、ダメージに弱く脆い髪になってしまうんです。
アルカリ性に偏った髪を弱酸性に戻しダメージを負いづらい状態にすることも、酸性トリートメントの目的の1つ。
しかし、適正な頻度を守らずに短期間に繰り返し行うと髪が弱酸性から強酸性になります。
強酸性に偏った髪は、髪の成分同士が必要以上にくっつきすぎて固くごわついた印象になってしまうのです。
髪のダメージ具合にもよりますが、施術ペースは1ヶ月半〜2ヶ月に1度がベスト。
最低でも1ヶ月は空ける必要があります。
価格が高い・施術時間がかかる
酸熱トリートメントの施術料金は数千円〜3万円程度、時間は1時間半〜2時間かかります。
コスト・時間ともに負担が大きいんですね…。
酸熱トリートメントは一般的なトリートメントと違い、
- 材料費が2倍ほど高い
- 施術の工程が多く人件費がかかる
- 必要な知識・経験が必要
なのでどうしてもお客様のコスト・費用面の負担が増えてしまいます。
ただその分得られる髪の変化は一般的なトリートメントと桁違いです。
一時的な効果でコスト・時間の負担が軽い一般的なトリートメントにするか、髪がどんどんキレイになるけどコスト・時間の負担が重い酸熱トリートメントにするか、どちらが自分に合うかはよく考える必要があります。
仕上がりは美容師の技量に左右される
酸熱トリートメントは髪の中に作用するため、見えない部分のダメージを手触りや弾力から正しく予測する必要があります。
ところがこのダメージの見極め…かなり難易度が高く美容師全員が正しく行えるわけではないんです。
そのため、美容師側の知識や技術によって最終的な仕上がりが大きく変わります。
「酸熱トリートメント=髪が傷む」といった誤解がされているのも、美容師の技量差によるもの。
酸熱トリートメントが原因で髪が傷むことはありませんが、間違った方法で施術されると髪が強酸性に傾き傷んだような質感になります。
キレイな仕上がりを得るためにはどうすればいいのでしょうか?
酸熱トリートメントのキレイな仕上がりを得るためには、酸熱トリートメントが得意な美容師を見つけることが大切。
施術費用が1万円以下と極端に安い店を避けたり、インスタグラムやホームページ上で酸熱トリートメントが得意だと公表している人を選ぶようにしましょう。
酸熱トリートメントのメリットとデメリット
酸熱トリートメントのメリット・デメリットをまとめてみました。
メリット |
デメリット |
「トリートメントをしたけど物足りない…」「すぐ効果がなくなった」と感じたことがありませんか?
一般的なトリートメントは、髪の外側をコーティングするけど傷んだ中身はそのままなので効果を実感しづらいんです。
酸熱トリートメントは一般的なトリートメントだと不可能だった髪内部へのアプローチが可能。
中から補修することで髪の強度・弾力が増し、髪が傷む前の元気な状態へ近付けられます。
ケミカル施術ではないのに、髪の強度・弾力が得られるのは酸熱トリートメントだけ。
髪の状態にもよりますが、3〜5回繰り返すと髪の変化を実感できる場合がほとんど。
特にブリーチや縮毛矯正でハイダメージを負っている人・髪がフニャッとして絡まりやすいくせ毛の人は効果を実感しやすいです。
ただ、一般的なトリートメントと違い酸熱トリートメントと相性が合う人・合わない人がいます。
髪の強度・弾力を得ることが目的のトリートメントなので、髪が低〜中ダメージの人・髪が剛毛でしっかりしている人は髪が硬くなりかえって質感を損なう恐れがあります。
また保湿系トリートメントのようにコーティングをするわけではないため、しっとり感は得られません。
一般的なトリートメントと違いいくつかデメリットもありますが、正しく使えば絶大な効果を得られる魅力的なメニューです。
髪の悩みを解消する選択肢の1つとして知っておくと良いですね。
酸熱トリートメントが合うかどうか、最終的な判断は髪のプロである美容師に任せましょう。
酸熱トリートメントはどんな人におすすめか?
髪の内部に作用して強度や弾力を増すことが目的なので、髪の強度・弾力が失われるほどダメージを負った人・猫っ毛の人にはおすすめです。
具体的にはこんな人…
- ダメージで髪がフニャッとしている人
- ダメージによる髪のパサつきが気になる人
- 年齢とともに髪が細く弱くなってきた人
上記の条件に当てはまっていない人は、髪の強度・弾力が増す酸熱トリートメントではなく髪を柔らかくしなやかにする酵素トリートメントがおすすめです。
酸熱トリートメントのBefor・After
髪を強く元気にしてくれる酸熱トリートメントの仕上がりが見たいです!
それぞれの悩みを抱える女性に施術してみました。
酸熱トリートメントのよくある質問
酸熱トリートメントをすればSNSで見かけるようなツルツル髪になれる? |
1度ではなりません。 酸熱トリートメントの最終工程でアイロンを通すため、SNS上の写真は艶やかな髪が掲載されています。 ただ、繰り返し施術を受けることで髪が整い写真のような艶のある髪へと近づきます。 |
酸熱トリートメントだけ施術するのは可能? |
可能です。 ただし少し前にカラーを行った場合は色落ちのリスクがあるので、カラ→酸熱トリートメントの順番で施術しましょう。 |
酸熱トリートメントは何日もちますか? |
具体的な持続期間は決まっていません。 一般的なトリートメントは髪表面のコーティングが剥がれると効果がなくなりますが、酸熱トリートメントは髪内部に作用するため剥がるなどが原因で効果が無くなることはありません。 ただし、髪がアルカリに偏る行為(カラー・パーマ)を行うと元の状態に戻りやすくなります。 |
まとめ
酸熱トリートメントは一般的なトリートメントと違い、コストや施術時間の負担が大きい・髪との相性・美容師の技量で仕上がりが変わるといったデメリットがあります。
一方で、他のトリートメントでは得られない髪のダメージケアが可能・髪の強度や弾力が増すといった絶大な効果を得ることが可能です。
誰にでも合う万人受けなトリートメントではありませんが、髪をキレイにする方法のひとつとして知っておくといいですね。